本稿は、法務省入国管理局(当時)が公表する『「クールジャパン」に関わる分野において就労しようとする留学生等に係る在留資格の明確化等について』より、日本の魅力を世界へ発信するクールジャパン戦略の推進に伴い,日本のコンテンツ等に対する外国からの関心が高まっていることを受け,アニメ,ファッション・デザイン,食などを学びに来た留学生が,引き続き本邦で働くことを希望する場合等に在留資格の該当性を踏まえた許可・不許可の事例について抜粋しました。
(平成29年9月公表『「クールジャパン」に関わる分野において就労しようとする留学生等に係る在留資格の明確化等について』より)
【許可事例】
<アニメーション分野>
(1) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,コンピュータ関連サービスを業務とする会社においてキャラクターデザイン等のゲーム開発業務に従事するもの。
(2) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。
(3) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,入社当初の6月程度背景の色付け等の指導を受けながら行いつつ,その後は絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。
<ファッション・デザイン分野>
(4) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,デザイン事務所においてデザイナーとして創作業務に従事するもの。
(5) 大学の工学部を卒業した外国人が,自動車メーカーにおいてカーデザイナーとして自動車デザインに係る業務に従事するもの。
(6) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社においてファッションコーディネーターとして商品の企画販促や商品ディスプレイの考案等に従事するもの。
(7) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社の海外広報業務を行う人材として採用された後,国内の複数の実店舗で3か月間販売・接客に係る実地研修を行い,その後本社で海外広報業務に従事するもの。
(8) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社において,パタンナーとして,裁断・縫製等の制作過程を一部伴う創作活動に従事するもの。
<美容分野>
(9) 本邦の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,海外展開を予定する化粧品会社における海外進出準備のための企画・マネジメント業務に従事するもの。
(10) 本邦の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,ヘアーウィッグやヘアーエクステンション等の商品開発及び営業販売の業務に従事するもの。
<食分野>
(11) 本邦の専門学校において栄養管理学等に係る課程を卒業し,専門士の称号を取得した外国人が,食品会社の研究開発業務に従事するもの。
(12) 本邦の専門学校において経営学に係る学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,飲食店チェーンの海外展開業務を行う人材として採用された後,本社における2か月の座学を中心とした研修及び国内の実店舗での3か月の販売・接客に係る実地研修を行い,その後本社で海外展開業務に従事するもの。
(13) 本邦の調理師養成施設において調理師免許の取得資格を得た外国人が,農林水産省が実施する「日本料理海外普及人材育成事業」の対象となって,5年間調理に関する技能を要する日本料理の調理に係る業務に従事するもの。
(14) フランス国籍を有する者がドイツにおいてイタリア料理の調理師として10年間活動した後,我が国においてイタリア料理の調理に係る業務に従事するもの。
【不許可事例】
<アニメーション分野>
(1) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,主体的な創作活動を伴わない背景画の色付け作業等の補助業務にのみ従事するもの。
<ファッション・デザイン分野>
(2) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社において,主体的な創作活動を伴わない裁断・縫製等の制作過程に従事するもの。
(3) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社の店舗において専ら接客・販売業務に従事するもの。
(4) 本邦の専門学校において主に経理を学んで卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,衣料品販売店において専ら販売業務に従事するもの。
<美容分野>
(5) 本邦の専門学校において美容学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,美容師やネイリストとして業務に従事するもの。
(6) 本邦の専門学校において美容学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,海外展開を予定する化粧品会社に雇用され,同社の海外進出準備のための企画・マネジメント業務を行うため1年間の座学及び実地研修を行うとして申請があったが,実際には,同社で同じ業務に就く日本人は4か月で実地研修が終わるのに対し,当該外国人については店舗を替えながら実地研修をするという名目で1年間に渡って販売・接客業務をさせる計画であったことが,審査の過程で明らかになったもの。
<食分野>
(7) 本邦の専門学校において経営学に係る学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,飲食店チェーンにおいて3年間の滞在予定で海外展開業務を行うとして申請があったが,実際には,入社後2年間は実地研修の名目で店舗での調理・接客業務に従事させる計画であったことが審査の過程で明らかになったもの。
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